件の発表からトロピカルビーチの評価が上がりました。
私もオークションでどうこうしようとしたのですが、あっという間に完売していましたね。
発表時はお仕事中ですから、仕方がない。

ところで、何を理由にビーチの評価を上げましたか?
私が考えたのは、
キャッチャー弱体化 及び先攻1キルがなくなる → 進化デッキが増える → 相性の良いビーチの需要が増える
でした。
相性の良いデッキが増えるだけで、ビーチが今より強くなるとは思いませんでした。

色々見ていると、
先攻はワザを使えない → 代わりにビーチを使う
という意見がありました。
本当でしょうか?
確かに1ターン目だけ、ワザとビーチの2択だったものが唯一の選択肢になるのですから、相対的に強くなったとはいえそうです。
ですが、ビーチを4枚デッキに入れたとしても1ターン目に使える確率は60%程です。※
デッキに4枚入れることがベターとは思いませんから、実際にはもっと低確率ではないでしょうか。
後攻の場合だと今までと同じ2択ですしね。

そんなことを考えて、あれ、なんかおかしくないか?
と思った次第です。

※初手に引く確率が4割ほど。そこからどのサポートを使うかで変化しますが、だいたいこのくらいだろうと見積もりました。
なお、フウロでサーチする前提ならもっと高くなりますが、そんな事をしても無意味です。他のサポートでドローしたほうが強い。
以前書いた、デッキレシピでは表現できない戦術の第2弾です。
第1弾の内容を理解していることを前提にしているので、まだの方はお読みください。

http://blog.livedoor.jp/ootsuki_mire/archives/51966165.html


前回は絵柄をバラすことで、ゲーム中に取得できる情報が増える現象を主なテーマにしました。
あれは「ベストなプレイング」ができている時に有利になる事柄です。

今回のテーマは「ミスの防止」です。
今春のバトルカーニバルで、こんなことがありました。

状況:相手のバトル場はルギアEX。サイドを先行されているが、相手のデッキ構成から推測すると「白銀の鏡付きミカルゲPt4」を用意できれば、相当なターン数を耐えられると予想される。

ここで、ふたごちゃんを使って山札から白銀の鏡を引いてきました。
ところが、実際に使おうとしたら手札にあったのは退化スプレーでした。
どちらも青っぽい絵柄のグッズなので、焦りも相まって見間違えました。


これ自体は「ちゃんと確認しなさい」の一言で済む、救いようのないプレイミスです。その点を言い訳するつもりはありません。
ただし、防ぐ方法もあるのです。
白銀の鏡にはミラー仕様のプロモがあります。
デッキに入れる白銀の鏡をこちらにしていれば、「似てるから」という理由で間違えることは少なくなるでしょう。

この類のミスは重要な試合では度々起こることです。
私はデッキのエネルギーにジムチャレプロモのキラエネルギー(後期版)を使うことが多いのですが、
この悪エネルギーと闘エネルギーお角度によってはとても似通って見えます。
バトルカーニバル2012☆オータムの、札幌大会3位決定戦でやらかしました。
ダークライEXランドロスEXのデッキを使っていましたが、この2枚を見間違えて山から引いてくる、というミスをしています。
他の人からもこの悪と闘の見間違いをしたという話を聞いているので、案外多いのかもしれません。


さて、実例が少し長くなりましたが重要なのは、

カードの絵柄や光り方で、自分用のマーキングができる

ということです。


上の例はややカッコ悪いですが、しかし実際に起こると致命的です。
多少の工夫で避けられるなら、それに越したことはありません。

人はミスをする生き物です。現実の世界でも、ミス防止の工夫は色々と試みられています。
例えば信号。それぞれの意味に赤黄青の原色割り当てて見間違えを防ぎ、しかも一番重要な赤を一番目立つ右側に配置することで、見逃しを防止しています。


また、カードの仕様の選び方に自分なりのルールを設けておくこともできます。
DPtの時代は今よりも1枚積みのカードを採用することが多い傾向にありましたが、そうするとサイド落ちを確認するカードが10枚以上なんてこともざらにありました。
必要があるカードを全て覚えていれば良いですが、対戦中にド忘れすることもありえます。
なので私は、「1積みのカードはなるべくキラを使う」というルールを作っていました。
もちろん可能な限りですが、プロモ版にキラが存在するカードや、LEGENDのミラーを活用することでそこそこの割合でキラにすることができました。
普通は複数入れるけど今回は1枚だけ、というカードには特に有効でした。


今回はミス防止の観点から、カードの絵柄や仕様の違いを活用することを考えました。
前回と違って論理で導ける物ではないため、自分の例による話ばかりで分かり難かったと思います。
しかもアホな話を引っぱり出しているので、とっても格好悪いことこの上なく。
ただし、起こってしまった以上は重要な事だと思っています。
繰り返さないための対策が「注意してプレイする」では、具体的にどうするのかが見えません。
その具体化策として、こういった方法をとっても良いと思うのです。

ちなみに、WCSでは日本人選手は英語版と日本語版を使うことができます。
それに対して、アメリカ人は英語版しか使うことができません。
このデッキレシピ外レシピの観点からみると、日本人はアメリカ人よりも優位に立っているといえます。
WCSは大きく分けてLCQ, 予選スイスドロー、決勝トーナメントの3つの段階に分かれます。
そのうち、LCQとトーナメントはSingle elimination方式で行われますが、この方式はBest-of-three matches形式を採用しており、早い話が2本先取で対戦を行います。
※厳密にいえば2本先取ではありませんが、便宜上ここではそう呼ぶことにします。
たねぼーぱぱさんが詳しく解説してくれていますので、一読をお勧めします。
http://seedot.diarynote.jp/201306102336164430/

大雑把に言えば60分間で3戦するだけなのですが、意外と通常の対戦との違いがあります。
「投了」に戦略性が生まれるのが最もわかりやすい例ですが、それだけに留まりません。
ですが、日本では2本先取制の大会は行われません。
他のカードゲームの大会ではよく採用されますが、ポケモンしか経験のない人にとっては未経験のはずです。
そのため、この形式のコツがわからずにLCQに挑むことになる日本人は多いと思います。
実際に経験するのが一番ですが、そうでない場合の参考として、または体験するための下準備として、2本先取特有の考え方があります。


●前提条件
WCS2013のLCQおよび本戦で採用されるルールを大雑把に説明します。
正確性は保証しないので、詳しくは公式資料で確認してください。
制限時間:60分 + 制限時間終了時のプレイヤーのターン + 3ターン
 → 制限時間終了後、2回ワザを使えると考えれば良い
勝利条件:2勝するか、その他判定による
 → たねぼーぱぱさんの記事をご覧ください
先攻後攻:1戦目は通常通りダイストス等で決定する。
2戦目からは前対戦で負けたプレイヤーが先攻後攻を選べる。(お互いがサイドを置いてから)
デッキ:変更できない。サイドボードなどもない


●投了について
ゲーム中の任意のタイミングで投了=負けを宣言することができます。
負けが濃厚なゲームを投了することで、主に2つメリットのメリットを得られます。
1.時間の節約
2.手の内を隠す
制限時間が決まっているので、劣勢ゲームに時間を使いすぎると、次の優勢ゲームの途中でタイムアップになるかもしれません。
このゲームが劣勢でも次のゲームで巻き返せる見込みがあるなら、早めに投了した方が得策です。
またゲームが進むほどに相手に見せるカードが増えていくので、デッキの中身を隠しておきたいなら投了は有効な手段です。
一方で、負けが濃厚なゲームをあえて投了しない戦術もあります。
この場合のメリットは、基本的に投了する場合のメリットの裏返しです。
1.相手の手の内を知る
2.時間を稼ぐ
たとえ負けが濃厚でも、ゲームを進めれば相手のデッキをより多く知ることができるでしょう。
ACE SPECの内容を知りたいなど、情報収集目的でゲームを続けることはあり得ます。
また、特殊な状況では時間を引き延ばすことにも意味が生まれます。
文章で説明するのが難しいので、モデルケースで説明します。
・現在1勝0敗で2ゲーム目が進行中だが、負けペース
・デッキの相性はこちらが不利
・1本目は運よく勝てたが、2本目は負けが濃厚で3本目も勝つことが難しい
・デッキの動きとしてはこちらは速攻デッキなので、序盤はサイドをリードできる
 → 劣勢の2本目を投了せず時間を稼ぎ、3本目序盤のサイドリードしたタイミングで制限時間終了、判定勝ちを目指す
どうでしょうか?
前提条件が多いですが、意味があることが分かると思います。
ただし、ここで意図的に遅いプレイをすれば遅延の反則になるので注意してください。

投了する、しないの判断が様々な形で有利不利につながることが分かると思います。
しかし、一番重要なのは「本当にそのゲームに勝ち目はないのか?」という点です。
一番重要なのですが、こればかりはプレイスキルで判断するほかありません。


●デッキ選択
使用するデッキの選択にも関わってきます。
大きく2つの理由があるので、それぞれ説明します。
・制限時間に起因するもの
60分で最大3ゲーム、つまり1ゲームあたり20分の時間しか用意されていません。
1本先取の場合制限時間は30分ですから、通常よりも短いと言えます。
普段から20分以内に終わるデッキなら問題はありませんが、時間のかかるデッキの場合は注意が必要です。
全勝すれば問題ありませんが、1回負けるとまず間違いなく制限時間までゲームが続きます。
そのデッキが判定勝ちに強い構造になっていないなら、使用は控えるべきでしょう。
・同じ相手と複数回対戦することに起因するもの単直に言えば、「隠し玉」が通用し難くなります。
たとえばスクランブルスイッチ。
このカードは警戒されるかどうかで有効性が大きく変わります。
1ゲーム目ならともかく、2ゲーム目からは不意打ち性が減少するので、カードパワーが多少下がっていると考えて良いでしょう。
デッキ単位で隠し玉である、地雷デッキについても同様です。
1ゲーム目を勝ったとしても、対処法を考えられる2ゲーム目は勝率の低下が予想されます。

●確率の平準化
ゲーム数が増えるため、大数の法則によって確率が平準化されます。
簡単に言うと、
・強い人が勝ち残りやすく、
・相性の良いデッキが勝ち残りやすい
という現象が起きます。
プレイヤーの強弱はおくとして、デッキの相性の点は見逃せません。
「不利だけど運が良ければ1キルすれば勝てるでしょう」というような対処法は通用しません。3分の2の確率で1キル、というのはさすがに無茶です。
より綿密にメタゲームを考えるべきです。

なかなか全てを伝えることはできませんが、少しでもイメージの助けになったでしょうか?
繰り返しますが、一番良いのは実戦を積むことです。
特に投了の判断は難しく、慣れるまでに時間がかかると思います。
最後に、2本先取ならではとは言えないまでも、ただのトーナメントとは違う点があるので付け足しておきます。


●負けが許される
日本の公式大会のトーナメントでは1度負けると終わりですが、2本先取トーナメントでは1回負けても他2ゲームで取り返すことができます。
その特性から、デッキの選択に違いが出る可能性があります。
勝率は高いもののある条件下では極端に勝率が落ちるデッキ、例えば1キルに弱いシビシラスやタマタマを使うデッキは選択しやすくなります。
流行りのアレをやる、と見せかけてそれは導入の言い訳にすぎません。
理由一覧がありますが、私の場合は「存在が嫌」っていうのが殆どで、あまり当てはまるのがなかったです。
基本的には、「ゲームをつまらなくする」「デッキ選択・構築の幅を狭める」カードが嫌いです。
もちろん、特定の局面で出てきてほしくないカードはいくらでもありますけどね。


【理由一覧】A.使われるのも使うのも嫌い B.使われるのが嫌い C.使うのが嫌い D.強さを感じられない

第5位 キュレムps
嫌いな理由:その他
コメント:理由は概ねランドロスEXと同じです。
デッキ総体としてはこちらの方がぶっ飛んでいますが、単体ではランドロスEX程のインパクトがないのでこの順位。

第4位 ランドロスEX
嫌いな理由:その他
コメント:進化デッキを否定する存在。
先攻ハンマーヘッドが決まれば、HP60以下のたねポケモンが進化する前に2体狩り取られます。
3体目なんてそうそう場に出ませんし、そもそもサイド2枚とカード2枚を2ターンで失うわけですから、戦況は極端に不利。
その状況を避ける最も確実な手段は、「たねのHPが低い、進化デッキは使わない」となります。
このカードが存在するだけで、デッキのバリエーションが狭まってしまいました。

第3位 ミュウツーEX
嫌いな理由:その他
コメント:高すぎる基準点。
性能が高すぎて他のカードの出番を奪った点と、高い1キル性能で進化デッキの勝率を押し下げたことが要因です。
殆どのカードはミュウツーEXを超える性能を持たないので、「ミュウツーEXに勝てない」と採用を見送られてしまいます。
なお、ミュウツーEXを倒す最も確実な手段として、ミュウツーEXをデッキに入れるのが当たり前になったことも見逃せません。
ミュウツーEX1~2枚、無色2個エネルギー2~3枚がデッキの固定枠になり、構築の幅を狭めた実績もあります。

第2位 どくさいみん光線
嫌いな理由:A
コメント:珍しく理由区分が当てはまりました。
グッズという存在は、ポケモンを手助けする存在であってほしいと思います。
それなのに、このどくさいみん光線は性能が高すぎました。タチワキシティジムのせいもありますが、グッズだけでターン往復60ダメージはやりすぎです。
そして眠りもやり過ぎ。しかもコインなので、どの程度対策するべきかの判断が狂います。
結果、「コイン2枚裏で負けた」という嘆きが発生して、健全な勝ち負けから遠ざかっている気がします。
また、このカードが強すぎるために「入れない」という選択肢を取り難くデッキの枠が固定されてしまい、そして対策のためにやはりデッキの枠が固定されがちになります。

第1位 ポケモンキャッチャー
嫌いな理由:その他
コメント:BWシリーズの方向性を決めた元凶。
さて、ここからBWシリーズの狙いの考察に移ります。

このカードは、商品戦略上の必要から生まれたのだと思います。
その目的は、ゲームの単純化と、手軽な逆転劇の演出だと考えます。

順を追って説明します。

キャッチャーが存在すると、進化ポケモンやエネルギーをたくさん使うポケモンをベンチでじっくり育てることができません。
その結果、EXを中心とした省エネルギーのデッキが多くなります。
複雑な効果を使うポケモンが少なく、ルールとしても構築面でも複雑な進化が省かれることで、ゲームがわかりやすく単純化します。
特に進化ですが、昔の初心者さんはありとあらゆる進化ラインを入れて、結局どのポケモンも育たない事がよくありました。
今のBWだと、強そうなポケモンを適当に入れればワザが使えるようになっているので、そういったつまらなさは回避しやすくなっています。

もう一つはいわゆる「キャッチャー引きゲー」の事です。
盤面、サイド、その他要因で不利になっても、トップドローキャッチャーで解決できる場合があります。
これはNによる引きゲーや、どくさいみん光線の眠り発動なんかでも同じですが、キャッチャーはその典型だと思います。
ではなぜそれが必要か。多分、実力差を吸収して勝敗にバラつきを作るためです。

対戦ゲームなので、勝てなければ面白くなくて辞めてしまいがちです。
しかし運の比重が高いゲームであれば、多少の実力差があってもたまに勝つ事ができます。
そして、5回に1回でも勝てればモチベーションは保てるものです。
加えて、ピンチからの逆転という盛り上がり要素も提供します。
(アニメなどでも定番ですね。
多少話がずれますが、カードキングダム社長のいけっち店長さんが過去にこのような話をしています。

そうして遊んでいるうちに、気づいてしまったのです。
 僕はカードゲームの面白さとは、囲碁や将棋に通じるものだと考えていました。
 しかし、それは、マジックからカードゲームを始めた人間の、固定観念だったのです。
 遊戯王を遊んでいる彼らにとって、カードゲームとは、“仮面ライダー変身ベルト”だったのです。
 つまり、勝ち負けを競うゲームではなく、漫画のキャラクターになりきるための、ごっこ遊びのツール。
 まず最初は「対戦の雰囲気を楽しむ事」が目的のゲームで、勝敗やデッキ理論などは、あとから興味を持った者だけが追求するものだったのです。

カードキングダム カードゲーム戦機より抜粋 http://www.stannet.ne.jp/fb/cgame/nagaihenji2.html

ポケカに適用するには少し迂回が必要ですが、他のカードアニメの様な逆転シーンを、ポケカでも再現できたなら、それはポケカを選ぶ理由になると思います。)

この2つをもってポケモンキャッチャーがゲーム環境の方向性を作った、と私は考えています。
単純化・運の比重上昇というのは、2進化を何種類も組み合わせてデッキを組み、殆どのカードにサーチ手段があったDP~LEGENDとは全く逆の方向性です。
そのせいか、昔からのプレイヤーはBWになってつまらなくなったと感じているみたいですね。
私もTCGを将棋の延長で考えているので、過度の単純化や運の比率上昇は好みません。
進化ポケモンを使う選択肢を奪った事と合わせて、キャッチャーが最も嫌いなカードに上がりました。


ただし。
開発者が狙ってやっている以上、これらのゲーム環境にはメリットがあります。
ゲームBWから興味を持った人の取り込みと、ユーザー年齢層の若返りを図る、辺りだと思っています。

せっかくゲームを通じてカードに興味を持って貰っても、小難しくて入って行けないのでは困りますね。
低年齢層にとってはなおさらです。
なので、ゲーム全体を一度簡単にする必要があったのでしょう。

インターネットで記事を発信する人たちは、新弾が発売するごとにカードを箱で買い、ジムチャレにも当然の様に参加します。
ルールも構築方法も理解し、難しいデッキでも問題なく使いこなせるでしょう。
しかしそんなユーザーは全体の2%も居なくって、大多数のユーザーはちょこっとカードを買ったり、知り合い同士で対戦しているそうです。※
そういった多数派が遊びやすい方向にバランスを調整して、新規ユーザーを増やすのがBWシリーズの商品戦略だったんだと思います。

※2011年に株ポケやクリーチャーズの方とお話しする機会があり、そう仰ってました


そういうわけで、キャッチャーが作ったゲーム環境には合理性があり、理解ができるものです。
ただし好みではないので、やはり嫌いという事は動きませんでした、

余談ですが、上記はBWの初期の状況を想定して話を展開しています。
実際にはBW発売から1年ちょっとするとサザンドラやガブリアスなど有力な2進化ポケモンが増え、更に1年経った現在ではプラズマ団など複雑なカードが増えています。
新規ユーザーが少しずつゲームに慣れて、複雑なものにも対応できるようになったところで投入したのかもしれません。
BWシリーズも第9弾とEXバトルブーストで終了になると思います。
次のXYシリーズではどう展開するのか、楽しみですね。
今回はポケカ周辺で使われる用語の解説です。
テーマは「オポネント」。
スイスドロー形式の大会で、順位決定方法として使われています。
日本の公式大会ではあまり馴染みがないですが、非公認イベントGGCやみらチャン杯では予選の順位決定方法として採用されています。
そして重要なのが、海外の大会(スイスドロー)ではほぼ間違いなくこの形式が採用されています。
(国内非公認イベントでオポネントが採用されるのは、その影響が大きいでしょう。)

●大まかな意味
序文に書いたとおり、「オポネント」はスイスドローで勝ち数が同じ場合の順位決定方式として採用されます。
基本的な考え方は、「勝ち点が同じなら、強い人と対戦してきたプレイヤーの方が順位が高い」です。
その大会で自分が対戦した相手全員の勝ち点が、自分のオポネントポイントになります。

●計算方法
自分のスイスドロー大会の結果が以下の通りだったとします。

1:Aさん 勝 サイド 6-1
2:Bさん 勝 サイド 1-0
3:Cさん 負 サイド 5-6
勝ち点3、負け0点

この場合、勝ち点6が大会の成績です。
多くの場合はCさんが全勝で1位になり、自分を含めた2勝1敗の何名かで2位を争うことになります。
(3戦目開始時点で全勝者が3名の場合は上記が当てはまらない場合がありますが、無視します。)

ここでは、同じく勝ち点6のDさんがいるものとします。
そこで登場するのがオポネントです。
では、オポネントポイントを計算してみましょう。

自分の対戦相手
Aさん 勝ち点 3
Bさん 勝ち点 3
Cさん 勝ち点 9

Dさんの対戦相手
Cさん 勝ち点 9
不戦勝 勝ち点なし
Aさん 勝ち点 3

対戦相手の勝ち点の合計なので、自分のオポネントポイントは15です。
一方、Dさんは不戦勝をしており、オポネントポイントはAさんCさん分の12です。
よって、成績は以下のようになります。

2位 自分 勝ち点6 オポネント15
3位 Dさん 勝ち点 6 オポネント12

計算の元になっているのが勝ち点なので、高い方が有利です。

●原義
オポネント = Opponent とは、「相手」という意味の英単語です。
英語版テキストでは対戦相手の事を「your opponent」と表現しています。
この形式をオポネントと呼ぶのは、恐らく省略形なのでしょう。
海外の公式大会では、「Opponent win %」という表記でした。
パーセンテージとあるとおり、表記も勝ち点ではなく百分率の100.00%形式です。


ここまで理解しておけば、この用語で困ることはないと思います。
以下は、余裕がある方だけ読んでください。

●オポオポ
勝ち点と同じで、オポネントを計算しても順位が同率となる場合があります。
その場合は、オポオポと言って、対戦相手のオポネントの合計を計算する場合があります。
先程の例をとると、このようになります。

自分の対戦相手
Aさん 勝ち点 3 オポネント 12
Bさん 勝ち点 3 オポネント 3
Cさん 勝ち点 9 オポネント 15

この場合、オポオポは30になります。
オポネントで順位が付かない場合、このオポオポを参照して順位を決めます。
ただしオポオポは計算回数が多いので、Excelなどの自動計算ツールを使わないと現実的な時間内に算出できません。
そういうツールを用意できる、大きな大会専用の方式といえます。
(同率の場合のオポネント程度なら、手計算で可能です。)

●中間順位
スイスドローでの対戦相手の決定にオポネントを使用する場合があります。
しかし、オポオポと同様に計算回数が膨大になるため、ツールが必要になります。

以上でオポネントの用語解説を終わります。
バトルカーニバル直前ということで、様々な不正に遭わないための、そして自分がしないための行動集を作りました。
被害者としても加害者としても不正に関わらないための参考にどうぞ。


●はじめに
残念ですが、不正=反則をしてでも勝ちたいという人は存在します。
または不正と知らずに、悪意がないのにしてしまう人もいます。
そんな人たちに不正をさせない、もしくは自分自身が気付かないうちに不正をしないように、この記事を書きました。

大会での不正というのは当事者2人だけの問題ではありません。
その日で一番強い人を決めるのが大会の目的です。ひとつの対戦の結果がゆがめば、全体の結果も少しだけ歪んでしまいます。
もうひとついえば、不正は勝つためだけに行われるわけではありません。
特定の人を勝たせたい、負けさせたいといった動機や、賞品が欲しいからという場合もあります。(詐欺になる可能性もありそうです。)

ところで、この記事では「相手に○○させない」という表現がよく出てきます。
しかしこれは、その相手の不正を疑う表現ではありません。
一日に対戦する10人近い人の中で、たった1人不正をする人がいる“かもしれない”から仕方なく全員に行うだけです。
不正対策したからといって、その人の不正を疑うわけではないことを忘れないでください。
(特定の誰かが不正をする、なんて情報は普通はわかりません。)

最後に、不正関連の話をするにはルールの理解が不可欠です。
公式ページで公式ルールとフロアルール、また大会ごとにレギュレーションが公開されていますから、一度目を通すことをお勧めします。

・公式ルール、フロアルール
http://www.pokemon-card.com/howto/playrule/
・ポケモンカードゲーム バトルカーニバル2013スプリング レギュレーション
http://www.pokemon-card.com/event/card-event/battle_carnival_2013spring/


行動集(簡易)

1.手札を机の下に置かない
手札は常に見える所に置いてもらいましょう。
机の下などに持って行って、他のカードを加えるなどの不正をされる場合があります。
加えるのと逆に、要らないカードを捨てられる可能性もあります。
(ベルなどのドロー枚数に関わる。)

2.手札を他のカードの近くに置かない
手札とベンチポケモンが混ざってエネルギーがこっそり増えていたり、ダメカンを操作される場合がある。
サイドカードやトラッシュなんかも同様。

3.相手のデッキはよく切る
特にゲームの開始時。
詳しい方法は書きませんが、相手に積み込み※させないことは不可能です。
なので、積み込みされていても問題ないように、ゲーム開始時にディールシャッフル(n枚切り)をします。

※デッキのカードの順番を意図して操作すること。特定のカードを特定の場所にする他に、エネをデッキにまんべんなく配置、というようなことも含まれる。


4.わざと負けない、その申し出を受けない
当事者同士の話し合いによる勝敗の決定、いわゆるトスはフロアルールで禁止されています。
それ以前にポケモンカードでは投了が認められていないので、ゲーム途中で負けを宣言する事そのものができません。
(2005年の公式大会で投了しようとしたら、ジャッジから不許可が出ました。)


5.山札を見る→対象なし はジャッジに確認する
ハイパーボールを使って山札にポケモンがいた場合、必ずそのポケモンを引かなければなりません。
「ありません」と嘘を言ったらルール違反です。
しかし、相手プレイヤーが山札を確認するわけにはいかないので、ジャッジに確認してもらいます。


6.コインは3回転以上するように投げる
コインやサイコロは3回転以上した結果だけが有効です。
回転数が足りない場合は投げ直しになります。
殆ど回転しない投げ方をして、結果を操作する人もいるので注意が必要です。

ただし、「コインの結果を操作する」ことは禁止されていません。
仮に「必ず表が出るコイントス」ができたとしても、3回転以上していればその結果は有効です。
余談ですが、3回転したかしないかでジャッジに判断を仰いだ場合、大抵の場合は投げ直しの判断が下ります。
オモテの結果を投げ直しにされると良くないので、普段から疑いなく3回転以上するコイントスを心掛けましょう。



今回は6項目挙げました。
全てを網羅できているわけではありませんが、これらを実践すればいくらか不正に遭いにくく、加害者にもならずに済むと思います。
また、間違ってもこの記事を悪用して不正することがないように、よろしくお願いします。

デッキの内容は通常デッキレシピで表現されます。
ところが、それだけでは表現ができないこともあったりします。


:例題

Q1.デッキにはミュウツーEX(サイコドライブ)が2枚入っています。
ゲームは相手が先攻、手札にミュウツーEXが1枚ある状態で、相手がNを使ってきました。
Nで6枚引いたところ、ミュウツーEXを引きました。
さて、山札にはあと何枚のミュウツーEXがあるでしょうか?

A1.0~1枚

サイド落ちの可能性があるので、山札に残っている枚数は確定できません。

では第2問。

Q2.デッキにはミュウツーEX(サイコドライブ)が2枚入っています。
ゲームは相手が先攻、手札にミュウツーEX(SR)が1枚ある状態で、相手がNを使ってきました。
Nで6枚引いたところ、ミュウツーEX(R)を引きました。
さて、山札にはあと何枚のミュウツーEXがあるでしょうか?

A2.1枚

SRを山札に戻したことがわかっているので、山札に残っている枚数が確定できます。

デッキレシピを作れば問1も問2も全く同じになるのに、ゲーム中の同じ状況で得られる情報に違いが出ます。
不思議ですね。

問題ではSRというわかりやすい例を使っていますが、1st. Editionのあるなしでも同じことができます。
ゲーム中にそこまで意識できるかは別ですけどね。

サイドチェックという具体的な用例を上げましたが、同じ性能のカードのイラスト違いを使う意味は他にも色々あります。
SRで揃えて気合を入れる、というのもその一つですね。
反対に、私は変な光り方のカード(BWのホロなど)は目が疲れるので避けています。

デッキレシピができてもデッキ作りは終わりじゃない、ということですね。
トロピカルビーチ必要説
このカードをご存知ですか?


Pokemon World Champion Ships の2011年と2012年の参加賞カードです。
その辺の細かい話は今回の趣旨とずれてくるので、下のURLでみてください。
http://w.livedoor.jp/english_ptcg/d/WCS%a5%d7%a5%ed%a5%e2%20%a5%c8%a5%ed%a5%d4%a5%ab%a5%eb%a1%c1
要するにとっても入手困難なカードなのですが、困ったことに国内の公式大会で使えてしまいます。

そしてこのカード、強いです。
それどころか、デッキによっては必須と言っても過言ではないでしょう。
主に2進化のデッキですが、序盤に攻撃できない(しない)デッキではかなり有効に作用します。

通常、デッキの安定性を上げるにはサポートの枚数を増やしますが、増やしたらそれはそれで使い切れなかったり、アララギ博士でトラッシュしたり、ベルの邪魔になったりします。
ところがトロピカルビーチはスタジアムなので、それらの制限に囚われずにドローカードの枚数を稼ぐことができます。

また、現在の2進化デッキはフウロが入っている事が多いですが、このカードは序盤の安定性にはいまいち貢献しません。
ですが、トロピカルビーチがデッキに入っていれば、フウロをそのターンの内に量的なドローに変換する事ができます。
引いたカードを使えるのは次のターンですが、フウロでサポートを持ってきた時と違って新たに引いたサポートを使えるので、ドロー枚数は格段に多くなります。

トロピカルビーチはこの2点の特徴によって、デッキの展開を大きくサポートします。
1ターン目のワザの使用を捨てている、カメックスの様なデッキでは特に有効です。
ここからは私見を多く含みますが、サザンドラのヤミラミの様に有力なドロー補助のない2進化デッキでは、トロピカルビーチは必須のカードだと思っています。
それくらい、デッキの安定性に差が出てきます。

ただ、冒頭に書いたとおりこのカードは非常に入手が困難です。
日本で配布されておらず。そもそも絶対数が1,000枚に満たない(それも世界中に散らばっている)という、おおよそ公式大会で使用できるカードとしては不適格な入手難易度です。
直近のYahoo!オークションでは15,000円の価格が付いていました。
そのためこの記事が役に立つかは微妙なのですが、そんなカードがあるんだ、位に気に留めておくと良いと思います。

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