副題:Mar.28th XY6型ルギアEX at レックウザPCバトル in 横浜


自分にとっての最後の権利戦。レックウザポケモンセンターバトル(ヨコハマ)へ行ってきました。
今回使ったデッキはルギアなのですが、普段の大会とは違うアプローチでデッキを作りました。
何を考えて作ったか、理論(考察)と事例(デッキ)を交えながら解説していきます。

この記事は、コラムとデッキ紹介とイベントレポートのハイブリッドです。
そのためいつもよりも読みにくいかもしれません。


デッキ:ルギア・デオキシス・シェイミ



【ゲーム時間を因数分解】
1ゲームに掛る時間を分解すると以下のようになります。
「ターン数 × 1ターンあたりの時間」

いきなり根にたどり着きました。
これだけでは意味がないので、さらに1ターンを分解しましょう
「思考時間 + カード・ダメカン等を動かす時間」

これが相手と自分の交互に発生するので、ゲームに掛る時間を有意に変形すると以下の式で表せます。

「ターン数 × (自分の思考時間 + 自分の操作時間 + 相手の思考時間 + 相手の操作時間)」

実際の対戦では、会場のアナウンスを聞いたりジャッジの判断を仰ぐなどして、別の時間が挟まれることがあります。
ただし、今回のテーマとは関係がないので考慮しません。


【要素分析(1)】
ゲームに掛る時間を減らすには、構成する要素のうちのどこかを小さくしてやればよいです。
ここでは、ターン数に注目します。

もっともわかりやすい方法は、ルギアEXの「オーバーフロー」や「Δプラス」を使うことです。
ポケモンカードはお互いのサイドカード12枚のうち11枚がなくなった時点でゲームが終わります。
サイドカードを1枚引くことは、単純計算でゲーム時間を9%以上短くする効果があります。

もう一つは、1ターンに出せるダメージを大きくすることです。
同じポケモンを2ターンかけて倒すより、1ターンで倒した方が合計ターン数が少なくなるのは、説明するまでもありません。


【要素分析(2)】
ここでは自分のターンの時間である、「自分の思考時間 + 自分の操作時間」を考えます。

思考時間については、基本的に慣れに依存します。
同じデッキでも、使いこんでいる人とそうでない人では、同じ答えを出すために必要な時間は使いこんだ人の方が短いでしょう。
そのため、(特に時間を競う大会では)自分が使うデッキを使いこんでおく必要があります。

一方で、操作時間はカードの効果に依存します。
「山札からカードを1枚引く」効果を持つカードが2枚あったとして、「山札の上から1枚引く」のと、「山札をシャッフルしてから1枚引く」では前者の方が短時間です。
なのでゲーム時間を短くしたいなら、なるべくデッキをシャッフルしないカードを選ぶべきです。
その他、対象が多い効果(相手ポケモン全てにダメカンを乗せる、など)や、乗せるダメカンの数が多いワザ(100ダメージなら100ダメカン1個で良いが、90ダメージだと50ダメカン1個と10ダメカン4個を乗せるので時間がかかる)も時間がかかるカードです。

そして上記二つに共通するのが、使えるカード・効果が多いほど時間が掛かることです。
手札がエネルギー1枚だけならエネルギーの種類で迷うことはありませんが、2種類のエネルギーがあればどちらを使うか考えるでしょう。
そして、カードを1枚使うより、2枚使う方が2倍の操作時間が掛かります。

【要素分析(3)】
最後に相手のターンの時間を考えます。
考え方の基本は(2)と同じですが、相手が使うカードの種類(操作時間に関係)は勝手に決められません。
思考時間を短くすることと、相手が選んでデッキに入れたカードを、対戦で使わせないことがテーマになります。

重要なのは以下の2点です。

1. 多くのカード・効果を使わせない
2. 考えさせない

1番が有効な理由は、(2)で述べた通りです。
具体的には、ルール的に相手が取れる行動を可能な限り減らしましょう。
特性を封じれば、特性の効果を処理することはありません。
そもそも手札がなければ、相手がする行動はさらに少なくなるでしょう。
相手の行動を封じる系統の効果が有効です。

2番にも、1番の手法が使えます。
特性を封じた場合、相手は特性をどう使うか考える必要がなくなります。
手札がない場合も同様でしょう。
ただし、あまりやりすぎると「どうにもならない状況をどうにかしようとして、考え込んでしまう」ことがあるので注意が必要です。

さらに重要なのが、相手の考えを邪魔しないことです。
上級者も初心者も、対戦中はそのあとをどう行動しようか考えています。
次のターンにエネルギーをつける予定だったポケモンが倒されてしまったら、代わりに誰にエネルギーをつけるか考えなくてはいけません。
思考時間が発生します。
相手の想定通りに動いて、予想外の行動をしないことが相手の思考時間の削減に有効です。

転じて、メジャーでないデッキを使うとそれだけで相手は考え込んでしまいます。
知っているデッキであれば対処法もある程度わかるので対応が早いのですが、初見のデッキだと一から考えなければなりません。
そもそもテキストを確認する時間すら発生するので、余計に時間がかかってしまいます。


【まとめ】
これまでの考察をまとめると、連勝形式の大会に向いているのはこのようなデッキです。
「大ダメージを出せてサイドを追加で取る能力があり、少ないカード枚数で機能してデッキをシャッフルする回数が少なく、ちょっとしたロック能力があって、
でも相手の邪魔をせず、しかも良く知られているデッキ」(もちろん強くないといけない)
はい。そんなデッキはありません。
加えて試合時間のことしか考えておらず、強さに言及していません。
ある程度の強さを持っていることを前提に、試合時間のために工夫できる部分を探していかなければなりません。


【事例】
これは私が書いた考察ですから、私が連勝形式の大会用に用意するデッキはこの内容を鑑みて選んでいます。
ただし、成功するかどうかは話が別です。

今回のレックウザポケモンセンターバトルではルギアを選択しました。
採用した理論は「ターン数の削減」「自分の思考時間の削減(慣れ)」「相手の思考時間の削減(良く知られたデッキで、相手の邪魔はしない)」の3つです。
自分の操作時間削減のためトレーナーズポストは省きたかったのですが、綺麗に動かすためにはどうしても必要でした。

以下のようなレシピになっています。

2 ルギアEX
1 カビゴン
4 デオキシスEX
4 シェイミEX

2 プラターヌ
1 フラダリ
1 フラダリの奥の手
1 パソコン通信
3 バトルサーチャー
4 ハイパーボール
1 プラズマ団のモンスターボール
3 ダート自転車
2 リサイクル
4 アクロママシーン
1 タウンマップ
3 ポケモンキャッチャー
4 トレーナーズポスト
2 かるいし
4 スーパーポケモン回収
3 ちからのハチマキ
3 スカイフィールド

3 ダブル無色エネルギー
4 プラズマエネルギー


【結果】
ガマゲロゲ、画竜点睛を倒して2NDステージへ進みましたが、1勝したところでエメラルドブレイクにやられました。
後攻1ターンでシェイミEXを倒して先制したものの、エネルギーとフラダリの奥の手をサイドから回収できず、ワザを使えなくなって山札切れです。
というわけで、入賞はならず。

ちなみに2NDステージ2戦目としては一番早く対戦が終わったので、対戦の高速化は成功していたといえるかもしれません。
もちろん、勝てなければ意味はありません。

コメント

でいとな
2015年3月29日23:06

>さらに重要なのが、相手の考えを邪魔しないことです。
>予想外の行動をしないことが相手の思考時間の削減に有効です。

とても面白い記事でした。
予想外の行動が勝利に近付くと思っていたので、
速さ最優先とはいえ、相手の邪魔しないって考え方には至りませんでした。

レックウザのデッキでは1ターンの時間が掛かりすぎるので、
予定通り打点が上がらなかった場合は、
無駄に燃費悪い?時給低い?というような事を考えていました。

みれ
2015年3月30日21:23

そうなんです。
突き詰めていくと、勝つためのベストと相反する場合があるんです。
この辺のバランス感覚が肝心です。

レックウザの件は、勝つことを考えてもそのパターンは失敗じゃないかと思いました。

しぐら
2015年4月11日18:22

リンク外から失礼します。

対戦時間についてはどの方も考慮されていると思いますが、
『時間(ターン数)のかからないデッキ』という既存の考えではなく
『(相手の)時間を削減するデッキ』というアプローチもできるということですね。

グッズや進化ラインを多投すると、どうしても場の構築に時間がかかるので
とにかく自分の思考時間を減らすことしか考えていませんでした。

相手に無駄な考えをさせないデッキ、参考になりました。
非常に興味深い記事でした。他の考察も拝見させてもらいますね!
リンクいただきました!

みれ
2015年4月12日9:44

>しぐらさん
コメントありがとうございます。
ターン数というのは広い意味での数学的なアプローチであって、他の方向からのアプローチもあるということですね。

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