人のデッキを勝手に分析する、そんな記事を始めます。
本人の許可は得ていますが、特に許可が必要なものでもありません。気にせずに行きましょう。
デッキを掲載する人はいますが解説をする人は少なく、そして他者のデッキを第3者視点で解説する記事はほとんどありません。
そんな記事が、日本でも増えたら面白いと思いませんか?

今回は、Twitterのやりとりでこの記事を作るきっかけとなった、かえでさんのデッキを分析します。
8月に行われたWCSで3位を勝ち取った、フレフワンタイプのガルーラデッキです。


●デッキレシピ
2 ガルーラEX
2 MガルーラEX
2 ミュウツーEX
1 ゼルネアスEX
1 ケルディオEX
3 シュシュプ
2 フレフワン
1 ゼルネアス
1 スイクン
3 プラターヌ博士
4 N
3 アクロマ
1 サナ
1 ベル
2 フラダリ
4 フェアリーガーデン
3 まんたんのくすり
3 ちからのハチマキ
2 ツールスクラッパー
1 びっくりメガホン
2 ハイパーボール
2 レベルボール
1 ヘビーボール
1 すごいつりざお
1 ダウジングマシーン
7 フェアリーエネルギー
1 水エネルギー
1 レインボーエネルギー
2 ダブル無色エネルギー


本人による簡単なデッキ解説と、対戦レポートが公開されています。
http://mapleisland.diarynote.jp/201408240150004395/

またアメリカ公式でもデッキリストを公開しています。
http://www.pokemon.com/us/play-pokemon/worlds/2014/decks/masters/


●基本
日本では流らなかったガルーラとフレフワンの組み合わせですが、海外のレポートでは決勝トーナメントレベルの対戦でしばしば見かけました。
WCSではあまり使われなかった様ですが、デッキタイプとしてマイナーというわけではなさそうです。

基本的な動きは、ミュウツーかガルーラの2回攻撃で相手のEXを倒しつつ、こちらは高いHPとまんたんのくすり、または攻撃ポケモンの交代で気絶を逃れてアドバンテージを得るといったところでしょう。
主流のボルトロスタイプのフレフワンは、エネ加速ができて色々なタイプのポケモンを運用できますが、攻撃力が低い傾向にあります。
かえでさんのデッキは器用さに劣る代わりに、誰が相手でも100前後の威力を継続できることが長所といえそうです。

●環境要因
メタゲームの観点で使えないデッキを候補から外して、使っていて楽しいデッキを選んだと本人は書いています。
本人がメタゲームをどれほど気に掛けたのかはわかりませんが、勝ったからには必ず要因があります。

まず、DNより対戦相手を抜き出します。

予選スイスラウンド
1:イベルタル・ダストダス:○○
2:プラズマフレフワン:○○
3:ランドロス・ミュウツー・ライチュウ・フワライド:○×○
4:キュレム型プラズマ:○○
5:イベルタル・ダストダス:○○
6:ビリゲノ・ライチュウ:○○
7:ビリゲノ・ライチュウ:○×○
8:ビリゲノ・フワライド・パルキア:○×△
9:ビリゲノ:○×△

決勝シングルエリミネーション
TOP8:ビリゲノ・フワライド・パルキア:×○○
TOP4:ビリゲノ:××

ビリゲノ系:3勝1敗2分
イベルタル系:2勝0敗
プラズマ系:2勝0敗
ランドミュウツー系:1勝0敗

対戦のほとんどがビリゲノ系統。それも、後半はビリゲノのみと対戦しています。
単純に勝率を見ると他の3系統より低くなりますが、相手のプレイヤースキルやデッキの洗練度は序盤の対戦より高いはず。その点を考慮する必要があります。

対戦相手と結果を見ると、ビリゲノ、イベルタル、プラズマに勝てたことが第3位を勝ち取った決め手といえそうです。
このデッキがそれらにどう優位に立てるか、分析していきます。

●最多対戦のビリゲノ
ビリゲノは、HP170のポケモンに対して有利に戦えるデッキです。
基本パターンはビリジオンのエメラルドスラッシュの50と、ゲノセクトのメガロキャノンの100で合計150。
加えてどちらかにちからのハチマキをつけるか、メガロキャノンのベンチダメージで170に合わせていきます。
GブースターでHP180のポケモンも倒せますが、対戦中に使える回数に制限があるため苦手なことに変わりありません。

Mガルーラは、ビリゲノから3回攻撃されるか、Gブースターを含む2回攻撃でしか倒れません。
ガルーラもHP180ですし、本来ビリゲノが得意なミュウツーでさえ、1度攻撃を受けたらベンチに下がるか回復できます。
このデッキのメインポケモンは、ビリゲノから倒されない構造をしています。

ビリゲノ側はシュシュプを倒すのが得意で、ボルトロスタイプなら序盤に致命的なダメージを受けないので、フレフワンに対して有利に戦えます。
しかしこのデッキで序盤に動くのはミュウツーなので、シュシュプを倒している間にエックスボール2発でビリジオンを倒せます。加えて、無傷のミュウツーが場に残ります。

HPの関係でビリゲノに強く、フレフワンの対ビリゲノの弱点は緩和さているため、ビリゲノに対して有利に戦うことができそうです。

●プラズマ系統
メインポケモンをキュレムと仮定した場合、プラズマ系統はHP170~180に強いデッキということができます。
MガルーラはHP230、しかも50%の確率でキュレムをOHKOできるので、メインポケモン同士の相性では有利といえそうです。


●イベルタル
イベルタルは先述の2デッキと違い、得意なHP帯が特にないデッキです。
それよりも相手が使うワザのコスト帯、またはワザを使った後のエネ枚数で有利不利が決まってきます。
かえでさんのデッキはすべて中コスト帯のポケモンなので、イベルタルにとってはやや得意な相手です。
反面、大量エネのイベルタルに倒されないMガルーラのHPと、まんたんのくすりの回復、システムポケモン(フレフワン)の悪抵抗は有利な要素なので、結果として相性はフラットではないでしょうか。
今回の大会では、かえでさんのプレイヤースキルが勝因になったと予想します。
(ただし、ガルーラタイプのフレフワンはメジャーなデッキではありませんから、相手が練習不足だった可能性もあります。主流から外れることはこの点でメリットになります。)


●結論
結果的に上位の大半を占めた、ビリゲノに有利だったことがデッキの観点でみた勝因だと考えます。
エナジートランス系統は中打点での殴り合いに有利なデッキで、OHKOの大打点やコントロールは苦手な傾向にあります。
今回は、レックウザやアギルダーがメタゲームから外れたことが有利に働きました。

※余談ですが、トランス系の代表がサザンドラだったころは、同じく中打点に有利なカメックスが環境にいました。サザンドラとカメックスの直接対決ではカメックスの方が有利なため、サザンドラはほとんど使われませんでした。


●終わりに
以上でかえでさんのデッキの分析を終わります。
ご覧の通り、デッキ構築よりも環境考察がメインになりました。
これは私の好みによるものであって、デッキ分析とはこうあるべきというわけではありません。
(プレイングよりデッキ構築、デッキ構築よりデッキタイプの選択が重要だと考えています。)

本人による解説はとても面白いのですが、どうしてもその人の思い入れの影響を強く受けます。
また、事後の分析よりも、事前に何を考えたかに重点が置かれる傾向があります。
それはそれで良いのですけれど、たまには違う視点の記事も読んでみたくはありませんか?
この記事に続いて、第3者による分析記事が増えることを期待します。

コメント

かえで@がいぽん
2014年9月7日1:35

分析大変有意義に見せていただきました。
中の人は雑なのでこういうのはやっぱり面白いと思います。
ただポケカ界隈ではそもそもデッキリストを公開する、という文化からして少ないのが残念ですよね…公式ももっと上位入賞したデッキは出せば少しは変わるのかな?とは思ってます。


あとリンクいただきました!

みれ
2014年9月7日9:26

いかがだったでしょう。
クレームもOKですよ!

ポケカはなにかと秘密主義ですよね。
私もその傾向がありますが、公式くらいはどんどん情報公開すればと思います。

真悠
2014年10月30日22:53

確かに日本ではあまり見ないデッキですね。今度僕も作ってみたいと思います。リンク頂きますね。

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