テーマ連載 第4回はジャッジと通訳についてお話しします。
細かいルールはさておき、WCSでのジャッジや通訳はどういうものかをメインにお届けします。
テーマ連載の概要については、予告の記事を確認してください。
http://blog.livedoor.jp/ootsuki_mire/archives/52037719.html


まずジャッジについて。
基本的に、日本の公式イベントのジャッジと同じ存在と思って良いです。
会場に複数人配置されていて、対戦数が多いときは呼び出しに応えて、決勝など重要な対戦ではテーブルに1人以上が付いてルールやゲーム進行の判断をします。
ヘッドジャッジがおり、担当ジャッジの判断に納得がいかない場合上告できることも同じです。
ただし、その多くをボランティアスタッフが担っていることは第1週で紹介した通りです。
Professor Programというものがあり、一定の条件を満たしたコンシューマーがジャッジとして活動できるようです。

ジャッジがゲーム中に行うべき判断は、ドキュメント化されておりプレイヤーが読むことができます。※1
それによれば、プレイヤーに与えられるペナルティで現実的なものは以下の通りです。
注意、警告、サイドロス、サイドロス(複数)、ゲームロス
累積による加点もあるため、一度ペナルティを受けた場合は注意が必要です。
詳しく説明しませんが、遅延の判断基準が秒単位で書いてあったりと、かなり細かい内容となっています。※2

※1 以下のページ「Penalty Guidelines」
http://www.pokemon.com/us/play-pokemon/about/tournaments-rules-and-resources/

※2 詳しく説明しないと言いつつ、少しだけ。デッキサーチとシャッフルは合わせて15秒、一つ前のアクションから次のアクションまでの思考時間は10秒、など。サーチの時にサイド落ちをチェックすれば、あっという間に基準に達します。ただし、基準が存在してとしてもその通りに運用されるかは話が別です。


ところで、WCSのジャッジは日本のジャッジに比べてルールを厳しく適用する傾向があります。
例えば「山札の上がめくれてしまった」といった場合、日本ではお咎めなしも多いですが、WCSではもう少し厳しい判断が下るかもしれません。

また、WCSのジャッジは英語しか話しません。
本人の語学力に関係なく、英語以外話してはいけない規則だそうです。※3
プレイヤーが英語を話せない場合、後述する通訳を介してコミュニケーションをとります。
当然 微妙なニュアンスの違いや、伝え間違いの危険があるので、英語で直接ジャッジと話すが有利になります。

※3 日本人のクリーチャーズ社員がジャッジを務めたとき、日本人と日本語で会話したことが「アドバイスを与えている」と誤解されたことがきっかけでルール化されたそうです。あくまでも、噂です。


続いて通訳について。
当然ですが、国内大会には存在しない概念です。
世界中から人が集まる、WCSならではの役割と言えます。

きちんと確認したわけではありませんが、おそらく通訳は「各言語⇔英語」のみです。
日本語話者とスペイン語話者が会話したい場合、
日本人プレイヤー → 日本語通訳 → スペイン語通訳 → スペイン人プレイヤー
という経路になります
ルールの判断が必要な時は、両通訳に間にさらにジャッジが入ります。

担い手がボランティアであることは、ジャッジや他のスタッフと同じです。
もちろんプロの通訳ではありません。
今まで私が会った日本語通訳は、日本好きの外国人(留学経験なし)、日本留学経験者、日系人といった方々でした。
日本はポケモンインターナショナルの影響下にないので、日本在住日本人の通訳は会ったことがありません。
ですが、今年は1人いるという噂もあります。


ジャッジ・通訳ともに、助けが必要な時は手を挙げたり声を掛けたり、目線で訴えるなどして呼べば来てくれます。
近くにいないときは、スタッフの方に呼んでもらいましょう。
「Judge」「Translate Japan」と言えば通じると思います。
ジャッジは結構な人数がいますが、日本語通訳は各リーグ1名程度しかいないので、来るまでに時間が掛るかもしれません。


だいたい、こんなところでしょう。
呼ぶ側の心構えですが、海外プレイヤーは日本人に比べてジャッジも通訳も積極的に活用する傾向があるように思います。
疑問に思ったらとりあえず呼ぶイメージですね。そしてそれは正しいことです。
しかし日本語カードの内容確認でいちいち人を呼んでいてはきりがないので、英語版のテキストを確認する手段を用意しておきましょう。
公式では、公式ページのカードデータベースの使用が推奨されています。
Modified Legalを指定することで、現在の大会レギュレーションに合うカードだけを検索してくれます。
ポケモンの名前がわからなければ、Wikipediaで調べることができます。
ただしプロモーションカードは載っていないので、別の手段で用意してください。
http://www.pokemon.com/us/pokemon-tcg/pokemon-cards/?1-xy=on

第4週、ジャッジと通訳の話は以上です。
前回と同じく、おまけ程度の話をつけて終わりにします。


●ジャッジと通訳も、選ばれるかいつもドキドキ
ジャッジや通訳のボランティアは、アメリカだけでなく世界中から集められます。
6月か7月くらいに招待の連絡があるそうで、毎年選ばれるかどうかドキドキなんだとか。
ジャッジと通訳の両方できる人は、どちらになるか招待されるまでわからないと言っていました。

●文章の翻訳
今回のメインテーマは会場での通訳でしたが、その他にも文章の翻訳者が必要になることもあります。
ある年のWCSに、日本人選手向けに日本とのルールの相違点をまとめた紙が配られたことがありました。
主催者が用意したものですが、翻訳を作ったは普通の日本人プレイヤーです。
その人はジャッジと知り合いで、そのツテでボランティアを頼まれたそうです。

●英語を話せないのは誰?
あくまで自分の経験によりますが、WCSに来るような大人に英語を話せない人はまずいません。
ドイツ人もフランス人もメキシコ人もブラジル人も、みんな英語でコミュニケーションが成立しました。
さすがに子供は母語のみの子が多いのでしょうが、英語をある程度抑えておけば、あまり心配はいりません。

●日本語のアナウンス
WCSの日本人参加選手が増えたからか、はたまた英語ができない人が多いからか。
日本語で会場アナウンスがされる年もあります。
事前にわからないのが難しいところではありますが、もしアナウンスがあれば我々としてはだいぶ楽になります。

●対戦中によく使う英語
対戦中に使う用語ももちろん英語です。
公式ドキュメントによく使う言葉やポケモン用語の翻訳集があるので紹介します。
http://www.pokemon.com/us/play-pokemon/about/tournaments-rules-and-resources/
World Championships Battle Dictionary

コメント

あさみな
2014年6月26日22:11

ありがとうございます。
解ることが、、、
この、テーマ連載が、もし無かったら、読めなかったら
残念な結果になるのがわかりました。
ジャジキルされるか、パニックになって負けるとか。

それくらい貴重な情報で、今年だけで無く、
毎年この時期に流したほうがいいとも思います。

ルール、環境のせいで、負けるリスクが、
減るはずです。

先日は、対戦出来ませんでしたが、機会が有れば、よろしくお願いします。

トムリン
2014年6月26日22:40

「WCSのジャッジは日本のジャッジに比べてルールを厳しく適用する傾向があります。」と有りますが、ルールの理解度も違うのでしょうか?

みれ
2014年6月26日23:10

>あさみなさん
まあ、実際には対戦が始まってしまうと普通に過ぎていくんですけどね。
むしろ、対戦以外の場所であたふたして疲れたり、冷静さを失ってしまう方が怖いです。
残りの3回は、盤外のアドバイスがメインになっていきます。

毎年これを書くのは、勘弁してください。(笑

>トムリンさん
実のところ、私は1試合しかジャッジを呼んだことがないんです。
それもマッチの時間終了時の処理についてなので、ジャッジが平均的にどの程度の知識を持つのかはわかりません。
適用度については、知り合いからの伝聞情報をもとにしています。

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