第2週の今回は、WCSで行われる2本先取の対戦、正式名 Best-of-Three Matchについてお届けします。
日本では全く行われないこの形式。リザードンメガバトルの決勝戦は2本先取でしたが、それとは少し違うルールで行われます。
戦略に大きく影響するため、今回のテーマ連載の中でも重要な回だともいえるでしょう。
テーマ連載の概要については、予告の記事を確認してください。
http://blog.livedoor.jp/ootsuki_mire/archives/52037719.html


海外の今季の大会は、シングルエリミネーションラウンド(トーナメント)、スイスラウンド(スイスドロー)ともにBest-of-Three Matchで行われています。
いわゆる2本先取なのですが、細かいところで違いがあります。
今期で使われているものを、簡単にまとめてみました。

制限時間:45分以上※ + 3ターン (ドローが3回発生する)
勝利条件:制限時間内に2勝するか、1勝0敗で制限時間を終える。勝利数が同じ場合の扱いは大会形式による。
先攻後攻:ゲーム1は通常のルールに従う。ゲーム2,3は前のゲームで負けたプレイヤーが先攻後攻を選択する。(通常の先攻後攻決定のタイミングで選択)
遅刻の扱い:遅刻をした場合、制限時間内にマッチが終わらなければ負け。5分の遅刻でゲーム1の負け。10分の遅刻でマッチの負け。
制限時間終了時の処理:大会形式による。
※ルール上はマッチの制限時間は下限45分とあり、実際は大会ごとに変わります

さて、「大会形式による。」が2回出てきました。
これはシングルエリミネーションかスイスかによって変わります。
少し詳しく書きます。

●制限時間終了時の処理~シングルエリミネーション(LCQ, 本戦)

・ゲーム1の途中
残りサイドが少ないプレイヤーがマッチの勝者になります。
終了時点で同数の場合はサイド差がつくまで試合を継続します。

・ゲーム2の途中
双方の残りサイドが3枚以上の場合、そのゲームは無効になりゲーム1の勝者がマッチの勝者になります。
どちらかのサイドが2枚以下の場合、残りサイドが少ないプレイヤーがゲームの勝者になります。
終了時点で同数の場合はサイド差がつくまで試合を継続します。
ゲーム2終了時点で勝利数が同じ場合、サイド1枚のサドンデスを行い、勝ったプレイヤーがマッチの勝者になります。

・ゲーム3の途中
残りサイドが少ないプレイヤーがマッチの勝者になります。
終了時点で同数の場合はサイド差がつくまで試合を継続します。

対戦の準備中に制限時間となった場合、次のゲームは行いません。
ただし、1勝1敗の場合はサイド1枚のサドンデスを行い、マッチの勝者を決定します。


●制限時間終了時の処理~スイス(予選)

・ゲーム1の途中
制限時間の終了をもってゲームを中断し、マッチは引き分けになります。

・ゲーム2の途中
制限時間の終了をもってゲームを中断し、ゲーム1の勝者がマッチの勝者になります。

・ゲーム3の途中
制限時間の終了をもってゲームを中断し、マッチは引き分けになります。

なお、対戦の準備中に制限時間となった場合、次のゲームは行いません。
1勝1敗の場合、マッチは引き分けになります。


いかがでしょうか。
簡単にまとめると、シングルエリミではゲームを継続して勝者を決定し、スイスでは細かい判定はせずに引き分けとします。
ルール詳細が分かれており特にシングルエリミは細かいので、しっかりと覚えておく必要があります。
上記は簡略化しているので、詳しい規定は公式文書で確認してください。
http://support.pokemon.com/FileManagement/Download/285237e1e815473dbac38d3a368f84a2

スイスラウンドの上記規定は今期から初めて導入されました。
(以前は30分の一本勝負でした。)
一見して分かる通り、引き分けが発生しやすいルールです。
Twitterで州レベルの大会の結果を見る機会がありましたが、スイスラウンド8回戦の1位ですら、5勝0敗3分というものでした。
引き分けは発生するものと考え、制限時間で3ゲームをどう使うのか、戦略的に考える必要があるでしょう。
2勝0敗が理想ですが、1勝0敗を目指す戦略もありますし、1敗しても残りの時間で2勝できるような、スピードのあるデッキを選択するのも戦略です。

ところで、マッチのゲームでは投了が可能です。
通常30分必要なサイド6枚戦を最大3回行うわけですから、まっとうにやれば60分で終わるわけはありません。
そのため、負ける可能性が高いゲームは早めに見切りをつけて、続くゲームに向けての時間を確保するのは重要な戦術です。
TCG経験がポケモンのみのプレイヤーは投了になじみがないと思いますので、機会を見つけての練習をお勧めします。


今回はBest-of-Three Matchがテーマということで、それのみに絞ってお届けしました。
デッキ選択に直結する部分でもあるため、よく理解して挑むことをお勧めします。

マッチ関連には少し補足があるため、最後に箇条書きします。

・ゲーム1の先攻後攻について
片方のプレイヤーがコインを投げ、もう片方が結果を予想します、
当てた方が先攻です。

・スイスラウンドの順位決定方法
オポネント方式が使用されます。もしかしたらゲーム勝率が優先だったかもしれませんが、オポネントが関わることは間違いありません。
内容はここでは説明しませんが、過去にオポネントについて解説した記事を紹介します。
http://blog.livedoor.jp/ootsuki_mire/archives/51995030.html

コメント

kira
2014年6月12日23:08

ルールを探すしかないと思っていたところだったので非常に助かりました^^

みれ
2014年6月12日23:12

日本代表の役に立てて、苦労して書いた甲斐がありました。
他に気になることがあれば、気軽に聞いてください。
ルール面ならそれがある場所を、経験面ならわかる限りお答えします。
(ただ、翻訳はお任せしちゃうと思いますが。)

あさみな
2014年6月12日23:29

今回は、2週間前から、楽しみにしてました。
よく読み、理解させて頂きました。
本戦と予選のルールの違いがよくわかりました。
ルールを、知って守ってのゲームですので
これからも、勉強させて下さい。
よろしくお願いします。

Sムラ
Sムラ
2014年6月13日7:26

こんにちは。
既にご存知だとは思いますが、今年は先行後攻についてデッキをお互いにカット後に、ダイスを振ります。
手札を見てサイドをセットしてから。 ではなくなりましたね。
ちなみに当てた方が、先行後攻選べます。

参考までに。

Snorlax082
2014年6月13日9:20

WSCのルールで分からないことばかりで困っていました^^;
ありがとうございます!
WCSで行われる2本先取の対戦で時間内にすべて勝敗を決めること・・・
日本では経験のないことでこれから子供と理解し練習しなきゃですw
またこのシリーズは楽しみにしております^^

今後ともよろしくお願いします。
リンク頂いていきます。

みれ
2014年6月13日18:40

あさみなさん
今回は代表には特に読んでほしい記事でした。
なので、楽しみにしてくださったのはとても嬉しいです。
この先の記事は戦略にはあまり影響しないのですが、知っていると現地での戸惑いが少なくなるような内用です。
お楽しみに。

Sムラさん
いえ、知りませんでした。
まさか基本ルールまで変わっていようとは...
次はちょうどコインの話ですし、調べて話題にします。

アキさん
違いが大きくて戸惑いますよね。
このシリーズでできる限り紹介していきますし、気になることは是非きいてください。

kira
2014年6月18日18:42

1点質問させていただきます。
サイド1枚でサドンデスというのは、サイドは6枚おいて1枚とった方の勝ちという意味でしょうか?それとも本当にサイド1枚おいて対戦になるのでしょうか?

みれ
2014年6月18日19:43

えーと、サイド1枚おいての対戦です。
日本のサドンデスのルールと同じではないでしょうか。
といいつつ、12年やって一度もその機会がなかったので、日本のも細かい部分はあやふやですけど。
※お互いが同時にサイドを6枚取り、かつお互いバトルポケモンを出せない場合、サドンデスになります。

kira
2014年6月19日10:33

ご回答ありがとうございます。かなりNは使いづらくなりますね^^;

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