嫌いなカード~TOP5 ~ から始まるBWシリーズの狙い考察
2013年6月8日 考察 コメント (5)流行りのアレをやる、と見せかけてそれは導入の言い訳にすぎません。
理由一覧がありますが、私の場合は「存在が嫌」っていうのが殆どで、あまり当てはまるのがなかったです。
基本的には、「ゲームをつまらなくする」「デッキ選択・構築の幅を狭める」カードが嫌いです。
もちろん、特定の局面で出てきてほしくないカードはいくらでもありますけどね。
【理由一覧】A.使われるのも使うのも嫌い B.使われるのが嫌い C.使うのが嫌い D.強さを感じられない
第5位 キュレムps
嫌いな理由:その他
コメント:理由は概ねランドロスEXと同じです。
デッキ総体としてはこちらの方がぶっ飛んでいますが、単体ではランドロスEX程のインパクトがないのでこの順位。
第4位 ランドロスEX
嫌いな理由:その他
コメント:進化デッキを否定する存在。
先攻ハンマーヘッドが決まれば、HP60以下のたねポケモンが進化する前に2体狩り取られます。
3体目なんてそうそう場に出ませんし、そもそもサイド2枚とカード2枚を2ターンで失うわけですから、戦況は極端に不利。
その状況を避ける最も確実な手段は、「たねのHPが低い、進化デッキは使わない」となります。
このカードが存在するだけで、デッキのバリエーションが狭まってしまいました。
第3位 ミュウツーEX
嫌いな理由:その他
コメント:高すぎる基準点。
性能が高すぎて他のカードの出番を奪った点と、高い1キル性能で進化デッキの勝率を押し下げたことが要因です。
殆どのカードはミュウツーEXを超える性能を持たないので、「ミュウツーEXに勝てない」と採用を見送られてしまいます。
なお、ミュウツーEXを倒す最も確実な手段として、ミュウツーEXをデッキに入れるのが当たり前になったことも見逃せません。
ミュウツーEX1~2枚、無色2個エネルギー2~3枚がデッキの固定枠になり、構築の幅を狭めた実績もあります。
第2位 どくさいみん光線
嫌いな理由:A
コメント:珍しく理由区分が当てはまりました。
グッズという存在は、ポケモンを手助けする存在であってほしいと思います。
それなのに、このどくさいみん光線は性能が高すぎました。タチワキシティジムのせいもありますが、グッズだけでターン往復60ダメージはやりすぎです。
そして眠りもやり過ぎ。しかもコインなので、どの程度対策するべきかの判断が狂います。
結果、「コイン2枚裏で負けた」という嘆きが発生して、健全な勝ち負けから遠ざかっている気がします。
また、このカードが強すぎるために「入れない」という選択肢を取り難くデッキの枠が固定されてしまい、そして対策のためにやはりデッキの枠が固定されがちになります。
第1位 ポケモンキャッチャー
嫌いな理由:その他
コメント:BWシリーズの方向性を決めた元凶。
さて、ここからBWシリーズの狙いの考察に移ります。
このカードは、商品戦略上の必要から生まれたのだと思います。
その目的は、ゲームの単純化と、手軽な逆転劇の演出だと考えます。
順を追って説明します。
キャッチャーが存在すると、進化ポケモンやエネルギーをたくさん使うポケモンをベンチでじっくり育てることができません。
その結果、EXを中心とした省エネルギーのデッキが多くなります。
複雑な効果を使うポケモンが少なく、ルールとしても構築面でも複雑な進化が省かれることで、ゲームがわかりやすく単純化します。
特に進化ですが、昔の初心者さんはありとあらゆる進化ラインを入れて、結局どのポケモンも育たない事がよくありました。
今のBWだと、強そうなポケモンを適当に入れればワザが使えるようになっているので、そういったつまらなさは回避しやすくなっています。
もう一つはいわゆる「キャッチャー引きゲー」の事です。
盤面、サイド、その他要因で不利になっても、トップドローキャッチャーで解決できる場合があります。
これはNによる引きゲーや、どくさいみん光線の眠り発動なんかでも同じですが、キャッチャーはその典型だと思います。
ではなぜそれが必要か。多分、実力差を吸収して勝敗にバラつきを作るためです。
対戦ゲームなので、勝てなければ面白くなくて辞めてしまいがちです。
しかし運の比重が高いゲームであれば、多少の実力差があってもたまに勝つ事ができます。
そして、5回に1回でも勝てればモチベーションは保てるものです。
加えて、ピンチからの逆転という盛り上がり要素も提供します。
(アニメなどでも定番ですね。
多少話がずれますが、カードキングダム社長のいけっち店長さんが過去にこのような話をしています。
そうして遊んでいるうちに、気づいてしまったのです。
僕はカードゲームの面白さとは、囲碁や将棋に通じるものだと考えていました。
しかし、それは、マジックからカードゲームを始めた人間の、固定観念だったのです。
遊戯王を遊んでいる彼らにとって、カードゲームとは、“仮面ライダー変身ベルト”だったのです。
つまり、勝ち負けを競うゲームではなく、漫画のキャラクターになりきるための、ごっこ遊びのツール。
まず最初は「対戦の雰囲気を楽しむ事」が目的のゲームで、勝敗やデッキ理論などは、あとから興味を持った者だけが追求するものだったのです。
カードキングダム カードゲーム戦機より抜粋 http://www.stannet.ne.jp/fb/cgame/nagaihenji2.html
ポケカに適用するには少し迂回が必要ですが、他のカードアニメの様な逆転シーンを、ポケカでも再現できたなら、それはポケカを選ぶ理由になると思います。)
この2つをもってポケモンキャッチャーがゲーム環境の方向性を作った、と私は考えています。
単純化・運の比重上昇というのは、2進化を何種類も組み合わせてデッキを組み、殆どのカードにサーチ手段があったDP~LEGENDとは全く逆の方向性です。
そのせいか、昔からのプレイヤーはBWになってつまらなくなったと感じているみたいですね。
私もTCGを将棋の延長で考えているので、過度の単純化や運の比率上昇は好みません。
進化ポケモンを使う選択肢を奪った事と合わせて、キャッチャーが最も嫌いなカードに上がりました。
ただし。
開発者が狙ってやっている以上、これらのゲーム環境にはメリットがあります。
ゲームBWから興味を持った人の取り込みと、ユーザー年齢層の若返りを図る、辺りだと思っています。
せっかくゲームを通じてカードに興味を持って貰っても、小難しくて入って行けないのでは困りますね。
低年齢層にとってはなおさらです。
なので、ゲーム全体を一度簡単にする必要があったのでしょう。
インターネットで記事を発信する人たちは、新弾が発売するごとにカードを箱で買い、ジムチャレにも当然の様に参加します。
ルールも構築方法も理解し、難しいデッキでも問題なく使いこなせるでしょう。
しかしそんなユーザーは全体の2%も居なくって、大多数のユーザーはちょこっとカードを買ったり、知り合い同士で対戦しているそうです。※
そういった多数派が遊びやすい方向にバランスを調整して、新規ユーザーを増やすのがBWシリーズの商品戦略だったんだと思います。
※2011年に株ポケやクリーチャーズの方とお話しする機会があり、そう仰ってました
そういうわけで、キャッチャーが作ったゲーム環境には合理性があり、理解ができるものです。
ただし好みではないので、やはり嫌いという事は動きませんでした、
余談ですが、上記はBWの初期の状況を想定して話を展開しています。
実際にはBW発売から1年ちょっとするとサザンドラやガブリアスなど有力な2進化ポケモンが増え、更に1年経った現在ではプラズマ団など複雑なカードが増えています。
新規ユーザーが少しずつゲームに慣れて、複雑なものにも対応できるようになったところで投入したのかもしれません。
BWシリーズも第9弾とEXバトルブーストで終了になると思います。
次のXYシリーズではどう展開するのか、楽しみですね。
理由一覧がありますが、私の場合は「存在が嫌」っていうのが殆どで、あまり当てはまるのがなかったです。
基本的には、「ゲームをつまらなくする」「デッキ選択・構築の幅を狭める」カードが嫌いです。
もちろん、特定の局面で出てきてほしくないカードはいくらでもありますけどね。
【理由一覧】A.使われるのも使うのも嫌い B.使われるのが嫌い C.使うのが嫌い D.強さを感じられない
第5位 キュレムps
嫌いな理由:その他
コメント:理由は概ねランドロスEXと同じです。
デッキ総体としてはこちらの方がぶっ飛んでいますが、単体ではランドロスEX程のインパクトがないのでこの順位。
第4位 ランドロスEX
嫌いな理由:その他
コメント:進化デッキを否定する存在。
先攻ハンマーヘッドが決まれば、HP60以下のたねポケモンが進化する前に2体狩り取られます。
3体目なんてそうそう場に出ませんし、そもそもサイド2枚とカード2枚を2ターンで失うわけですから、戦況は極端に不利。
その状況を避ける最も確実な手段は、「たねのHPが低い、進化デッキは使わない」となります。
このカードが存在するだけで、デッキのバリエーションが狭まってしまいました。
第3位 ミュウツーEX
嫌いな理由:その他
コメント:高すぎる基準点。
性能が高すぎて他のカードの出番を奪った点と、高い1キル性能で進化デッキの勝率を押し下げたことが要因です。
殆どのカードはミュウツーEXを超える性能を持たないので、「ミュウツーEXに勝てない」と採用を見送られてしまいます。
なお、ミュウツーEXを倒す最も確実な手段として、ミュウツーEXをデッキに入れるのが当たり前になったことも見逃せません。
ミュウツーEX1~2枚、無色2個エネルギー2~3枚がデッキの固定枠になり、構築の幅を狭めた実績もあります。
第2位 どくさいみん光線
嫌いな理由:A
コメント:珍しく理由区分が当てはまりました。
グッズという存在は、ポケモンを手助けする存在であってほしいと思います。
それなのに、このどくさいみん光線は性能が高すぎました。タチワキシティジムのせいもありますが、グッズだけでターン往復60ダメージはやりすぎです。
そして眠りもやり過ぎ。しかもコインなので、どの程度対策するべきかの判断が狂います。
結果、「コイン2枚裏で負けた」という嘆きが発生して、健全な勝ち負けから遠ざかっている気がします。
また、このカードが強すぎるために「入れない」という選択肢を取り難くデッキの枠が固定されてしまい、そして対策のためにやはりデッキの枠が固定されがちになります。
第1位 ポケモンキャッチャー
嫌いな理由:その他
コメント:BWシリーズの方向性を決めた元凶。
さて、ここからBWシリーズの狙いの考察に移ります。
このカードは、商品戦略上の必要から生まれたのだと思います。
その目的は、ゲームの単純化と、手軽な逆転劇の演出だと考えます。
順を追って説明します。
キャッチャーが存在すると、進化ポケモンやエネルギーをたくさん使うポケモンをベンチでじっくり育てることができません。
その結果、EXを中心とした省エネルギーのデッキが多くなります。
複雑な効果を使うポケモンが少なく、ルールとしても構築面でも複雑な進化が省かれることで、ゲームがわかりやすく単純化します。
特に進化ですが、昔の初心者さんはありとあらゆる進化ラインを入れて、結局どのポケモンも育たない事がよくありました。
今のBWだと、強そうなポケモンを適当に入れればワザが使えるようになっているので、そういったつまらなさは回避しやすくなっています。
もう一つはいわゆる「キャッチャー引きゲー」の事です。
盤面、サイド、その他要因で不利になっても、トップドローキャッチャーで解決できる場合があります。
これはNによる引きゲーや、どくさいみん光線の眠り発動なんかでも同じですが、キャッチャーはその典型だと思います。
ではなぜそれが必要か。多分、実力差を吸収して勝敗にバラつきを作るためです。
対戦ゲームなので、勝てなければ面白くなくて辞めてしまいがちです。
しかし運の比重が高いゲームであれば、多少の実力差があってもたまに勝つ事ができます。
そして、5回に1回でも勝てればモチベーションは保てるものです。
加えて、ピンチからの逆転という盛り上がり要素も提供します。
(アニメなどでも定番ですね。
多少話がずれますが、カードキングダム社長のいけっち店長さんが過去にこのような話をしています。
そうして遊んでいるうちに、気づいてしまったのです。
僕はカードゲームの面白さとは、囲碁や将棋に通じるものだと考えていました。
しかし、それは、マジックからカードゲームを始めた人間の、固定観念だったのです。
遊戯王を遊んでいる彼らにとって、カードゲームとは、“仮面ライダー変身ベルト”だったのです。
つまり、勝ち負けを競うゲームではなく、漫画のキャラクターになりきるための、ごっこ遊びのツール。
まず最初は「対戦の雰囲気を楽しむ事」が目的のゲームで、勝敗やデッキ理論などは、あとから興味を持った者だけが追求するものだったのです。
カードキングダム カードゲーム戦機より抜粋 http://www.stannet.ne.jp/fb/cgame/nagaihenji2.html
ポケカに適用するには少し迂回が必要ですが、他のカードアニメの様な逆転シーンを、ポケカでも再現できたなら、それはポケカを選ぶ理由になると思います。)
この2つをもってポケモンキャッチャーがゲーム環境の方向性を作った、と私は考えています。
単純化・運の比重上昇というのは、2進化を何種類も組み合わせてデッキを組み、殆どのカードにサーチ手段があったDP~LEGENDとは全く逆の方向性です。
そのせいか、昔からのプレイヤーはBWになってつまらなくなったと感じているみたいですね。
私もTCGを将棋の延長で考えているので、過度の単純化や運の比率上昇は好みません。
進化ポケモンを使う選択肢を奪った事と合わせて、キャッチャーが最も嫌いなカードに上がりました。
ただし。
開発者が狙ってやっている以上、これらのゲーム環境にはメリットがあります。
ゲームBWから興味を持った人の取り込みと、ユーザー年齢層の若返りを図る、辺りだと思っています。
せっかくゲームを通じてカードに興味を持って貰っても、小難しくて入って行けないのでは困りますね。
低年齢層にとってはなおさらです。
なので、ゲーム全体を一度簡単にする必要があったのでしょう。
インターネットで記事を発信する人たちは、新弾が発売するごとにカードを箱で買い、ジムチャレにも当然の様に参加します。
ルールも構築方法も理解し、難しいデッキでも問題なく使いこなせるでしょう。
しかしそんなユーザーは全体の2%も居なくって、大多数のユーザーはちょこっとカードを買ったり、知り合い同士で対戦しているそうです。※
そういった多数派が遊びやすい方向にバランスを調整して、新規ユーザーを増やすのがBWシリーズの商品戦略だったんだと思います。
※2011年に株ポケやクリーチャーズの方とお話しする機会があり、そう仰ってました
そういうわけで、キャッチャーが作ったゲーム環境には合理性があり、理解ができるものです。
ただし好みではないので、やはり嫌いという事は動きませんでした、
余談ですが、上記はBWの初期の状況を想定して話を展開しています。
実際にはBW発売から1年ちょっとするとサザンドラやガブリアスなど有力な2進化ポケモンが増え、更に1年経った現在ではプラズマ団など複雑なカードが増えています。
新規ユーザーが少しずつゲームに慣れて、複雑なものにも対応できるようになったところで投入したのかもしれません。
BWシリーズも第9弾とEXバトルブーストで終了になると思います。
次のXYシリーズではどう展開するのか、楽しみですね。
コメント
多くのプレイヤーさんが漠然と感じていらっしゃるであろうことを、明快に言葉にしてくださり、ありがとうございました。いわゆる「大味なカード」の罪だけでなく功の部分もバランスよく取り上げてくださっており、現環境を客観的に見つめるよい機会になりました。
また、どこかで対戦できることを楽しみにしています(^-^)
自分は丁度LからBWへの移行期にポケカ界に参入したため、キャッチャーは、事実上ポケカで遊ぶ際の所与の前提になってしまっていて、往年のプレーヤーの方々が仰るほど違和感を覚えていません。
ただ、後段にある通り、TCGの商品戦略上、環境をどのようにコントロールするかが大変重要で、環境の移行期にキャッチャーがその任を担ったとのご説明は、正鵠を射たご指摘と思います。このカードの存在により、プレイングやカード資産に乏しい子供達にも容易に大人に勝ち得る機会が与えられたと思いますし、逆転劇の演出というドラマ性を齎したことで、BWシリーズの普及・展開に大きく寄与したものと思料します。
ご説明を拝読し、改めて、特定のカードを1枚放り込むだけで環境を如何様にもし得るものなのだなあと感じ入りました。
いつもの通り明快かつ的確なご考察に敬服致します。
大変参考になりました。
有り難うございました。
感じた事は軽視せず、それでいて中立的な書き方を目指したのですが、まだまだです。
>そうじんさん
そう言ってもらえると自信になります。
こういった、理由を考えるのが大好きなんですが、それを人に伝えようとすると大変ですね。
共感してもらえないかもしれませんし。
>ボヤッキーさん
はじめた時期によって、キャッチャーの存在の受け止め方って全然違うんでしょうね。
本文からも少しにじみ出ているかと思いますが、私にとっては相当の「異物」でした。
一枚のカードでも、仕組みが単純であるほど与える影響って大きいんですよね。
たった一文ですが、殆どのプレイヤーが最も重視するカードになってしまいました。
BWの終盤にはじめたものとしてもとてもわかりやすく納得のお話でした。
普及させなければ続かないし、ゲームとしての深みを作らなければ未来も開けない。ゲームを作るというのは何と難しいことでしょうかね。さまざまな立ち位置の人がたくさん関わるものだから、なにをしても批判や不満が出るのだと思います。
個人的には総じていまの環境はとても面白く、こどもにも逆転されうるところなども気に入っています。単純だからこどもがはじめられ、そのうえでいろいろ考えられるからわたしがはまりました。
どこに比重をおいてバランスを取るのか。制作されているみなさんが悩みながらも良いものを届けてくれることを願っています。
リンクいただきます。
はじめまして。コメントありがとうございます。
嫌いなカードの枠組みで記事を作ったのでそうは思えないかもしれませんが、
これでも私はBWの開発チームを評価しています。
単純かつダイナミックかつ逆転要素というのは、こどもが楽しむには全部必要なものなんですよね。
一時期のポケカは”運要素がある詰将棋”みたいな面があり、これでは子どもには難しいな、と思っていました。
それをうまいこと脱却したのは、見事だと思っています。